サクラのエリコ
「な、なによ!」


結花は明らかに動揺したように声を裏返させた。


「結花、おまえエリコちゃんがかわいいだけでNo.1になったと思ってたのか?」

「え?」


「おまえ、エリコちゃんの努力をまったく知らんのか」


「あんたさ、エリコが陰でどんなけ勉強してるか知らないの?」


「エリコちゃんはなぁ、どんな客とも話を合わせられるんだ。政治、経済、芸能からなにからなにまでただ聞いて頷いてるだけじゃない、自分なりの意見返したり考えを伝えたり…相手に話をしていて楽しいと思わせるために毎日よく勉強してるのが接客の会話からよく伝わってくる」


「エリコってば普通に電車で経済新聞読んでるもんね」


「にゃはは、照れるぅ(//∀//)」



「そうなんだよな、だからとてもじゃないけどエリコが16だなんて…」


マネージャーが恐る恐る言った。


「おまえは黙ってろ。女商売が女の本質見抜けなくてどうするんじゃい!」


鮫島に一喝されると、マネージャーはビクっと体を震わせた。
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