サクラのエリコ
「これで一件落着かなっ。お腹ぺった!」


「お腹ぺったね〜」


「よっし!みんなで焼き肉でも食いに行くかい、ワシの奢りだ」


「やーんパパだいちゅきー」

「慶一郎、この若造どもの免許コピーしとけ」


さすが鮫島。抜け目なく男達を逃げられないようにした。


「へい!…いーな焼き肉」


「コピー撮ったらおまえもこい」


「ままままじっすか!?」


「あたりめぇだ、今回おめぇは大手柄だからな」


「慶一郎ちゃんありがとね!」


エリコはそう言うと慶一郎の頬にキスをした。


「べべべぶぇ、ぶぇつにあんたのためにやったんじゃないのにゃ!」


慶一郎は顔を真っ赤にしながら男達の財布から免許を抜き取り始めた。


「かわいがってやれよ。そいつら、まずはおまえの舎弟からスタートなんだからな」


「えええええ!お、おれの舎弟っすか!!」


慶一郎は感激のあまり飛び上がった。


「あんたたちも来なよ!」


エリコは脱力していた結花に手をのばした。


「え…」


「いいよね?鮫島のパパ・」

「ああ、構わんよ」


「いこうぜぇ!」


「うん…」


結花はエリコの手をとって立ち上がった。


倉庫の外に出ると、すっかり日が暮れて辺りは暗くなっていた。
かすかに磯の香のまじった風が鼻腔をくすぐる。


一騒動終わり、エリコは本当にお腹が減ってきた。


今日はにぎやかな食事になりそうだ。
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