サクラのエリコ
ようやく22時になる頃には、エリコの目の前に漫画の山ができていた。
読んだらすぐ元の場所に戻さない、デフォルトでマナーなど彼女の常識にはセットされていないようだった。
ムモモモモ、ムモモモモ、カバンの中でくぐもったバイブ音が響く。
今度こそカスミでありますように、と携帯を開く。彼女のド○モのP902のワンタッチ開閉ボタンは、押しすぎて戻ってこなくなっている。
着信:千早香澄
「もしもし?チョッパ?」
チョッパ、とはカスミのニックネームである。
千早(ちはや)という苗字と、行動が早いことから付いたらしい。
「おーエリコーごめーん今バイト終わった!どしたんさ?」
「ちょーマジ最悪なんですけど!」
携帯通話は店外で、という漫喫の常識を無視してエリコは事情を話し始めた。
「ギャハハハ!やるじゃんエリコ!」
「笑い事じゃないっつーの、カブキ街で指名手配とかマジ洒落になんないし!」
「武闘派だよね〜w」
カスミに武闘派と言われたくはない。
彼女は高校生の時に空手のインターハイで優勝した経験を持ち、実際口より先に手が出るタイプだ。
何か月か前に渋谷で4〜5人の男相手に喧嘩して全員病院送りにしたのを間近で見ている。
黙っていればクールな雰囲気の、男なら誰もが振り返るような美人なのだが。
「というわけでさ〜しばらくかくまってくんない?」
「おっけえおっけえ、今どこよ?」
さすがチョッパ、即答快諾。
天使のような子だわ、ウルウル。
以前彼女が地方から東京に出てきた時、エリコの家にしばらく居候していたことがあった。
今度は逆の立場になるわけだ。
エリコにとって何の気兼ねもせずに一緒にいられる「親友」と呼べるのはは彼女くらいだった。
読んだらすぐ元の場所に戻さない、デフォルトでマナーなど彼女の常識にはセットされていないようだった。
ムモモモモ、ムモモモモ、カバンの中でくぐもったバイブ音が響く。
今度こそカスミでありますように、と携帯を開く。彼女のド○モのP902のワンタッチ開閉ボタンは、押しすぎて戻ってこなくなっている。
着信:千早香澄
「もしもし?チョッパ?」
チョッパ、とはカスミのニックネームである。
千早(ちはや)という苗字と、行動が早いことから付いたらしい。
「おーエリコーごめーん今バイト終わった!どしたんさ?」
「ちょーマジ最悪なんですけど!」
携帯通話は店外で、という漫喫の常識を無視してエリコは事情を話し始めた。
「ギャハハハ!やるじゃんエリコ!」
「笑い事じゃないっつーの、カブキ街で指名手配とかマジ洒落になんないし!」
「武闘派だよね〜w」
カスミに武闘派と言われたくはない。
彼女は高校生の時に空手のインターハイで優勝した経験を持ち、実際口より先に手が出るタイプだ。
何か月か前に渋谷で4〜5人の男相手に喧嘩して全員病院送りにしたのを間近で見ている。
黙っていればクールな雰囲気の、男なら誰もが振り返るような美人なのだが。
「というわけでさ〜しばらくかくまってくんない?」
「おっけえおっけえ、今どこよ?」
さすがチョッパ、即答快諾。
天使のような子だわ、ウルウル。
以前彼女が地方から東京に出てきた時、エリコの家にしばらく居候していたことがあった。
今度は逆の立場になるわけだ。
エリコにとって何の気兼ねもせずに一緒にいられる「親友」と呼べるのはは彼女くらいだった。