サクラのエリコ
「ほんっとうまそうに食ってくれるね〜」


「らってちょっぱご飯ちょーうめえもん♪」


「結婚すっかオイ?」


「や〜ん二十歳になるまでまってぇ〜ん」


そんな冗談を言い合ってるうちに、エリコは今日の出来事をすっかり忘れた。



エリコは満腹感が全身を包み、非常にリラックスした状態だった。

こんな幸福な感じは何ヶ月ぶりだろう?

少なくともキャバクラで働いてる時はなかった事だ。

「そーいえばちょっぱさ、新しいバイト始めたんでしょ?」


「おうよ〜もう一ヶ月になるよ」


「なにやってんの?」


「出会い系サイトのサクラ」


「はぁ〜?なにそれー?」

「男とメールのやり取りして金巻上げんのよ」


「それ詐欺くねえ?」


「それいっちゃあんたのキャバだって似たようなもんでしょ、ヤラせる気ゼロのくせに」


「そのキャバをクビになったんっすよ〜」


嫌なことを思い出してしまった、とクッションに顔をうずめるエリコ。
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