生と死
父親の自営業が、破産する日が来た。
朱美が、小学校5、6年生の頃だ。
今でも、覚えている。
知らないスーツを来た男の人が、家を何度も出入りしていたから。
それが怖くて、少しでも明るくしたいと子供ながらに思った。
子供部屋にオルガンがあった。
朱美はピアノを習いに行っていた。
あまり、ピアノのレッスンの気は進まなかったが、この時ばかりは鍵盤に指を置いた。
オルガンを弾く事で、少しでも子供の健気な気持ちを伝えたかった。
あたしたちは、無邪気なんだよ…って。
だけど、すぐお母さんが階段を昇って部屋を開けてこう言った。
「止めなさい、静かにしなさい」と。
ああ、本当に深刻なんだ。
子供心ながらに不安に陥ったのを覚えている。
朱美が、小学校5、6年生の頃だ。
今でも、覚えている。
知らないスーツを来た男の人が、家を何度も出入りしていたから。
それが怖くて、少しでも明るくしたいと子供ながらに思った。
子供部屋にオルガンがあった。
朱美はピアノを習いに行っていた。
あまり、ピアノのレッスンの気は進まなかったが、この時ばかりは鍵盤に指を置いた。
オルガンを弾く事で、少しでも子供の健気な気持ちを伝えたかった。
あたしたちは、無邪気なんだよ…って。
だけど、すぐお母さんが階段を昇って部屋を開けてこう言った。
「止めなさい、静かにしなさい」と。
ああ、本当に深刻なんだ。
子供心ながらに不安に陥ったのを覚えている。