生と死
父親は、ずっと威張り散らしていた。


娘が刃向かえば、「半殺しにするぞ!!」と怒鳴って殴った。



自分が1番悪いのに…


朱美も妹も父親から離れていった。





嫌がらせはエスカレートする。


ついには、母親の車までもパンクされ始めた。


そう、ばれたのだ。


フィリピーナは見張っている。



そんな恐怖から、朱美も妹も、家へ帰ると毎回必ず鍵を閉めた。


ピンポーンと、家のチャイムが鳴っても居留守を使った。


自宅の電話が鳴っても出なかった。




これは、トラウマからか、いまだにそうなのだが。




朝、父親や母親が仕事に行く時、常に緊張した。


タイヤがパンクさせられていると、「またヤラれた」とすぐに帰ってくるから。



こんな生活が、しばらく続いた。



パッタリと無くなったのは、朱美が19歳くらいの頃だ。

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