生と死
何故、朱美が悩んでいるかというと、昨夜トーイと喧嘩をしたのだ。



喧嘩の理由…




それは、父親に対する朱美の気持ちだ。




トーイは、父親がいない。


彼が幼い頃に、病気で亡くなったのだ。




父親の存在は、神に等しかった。トーイにとって、まさに『遠い存在』であり『憧れの人物』なのだ。



皆にとっては『居て当たり前』の、自分と同じ血が流れる人。



トーイには、父親の霞んだ記憶すら無い。

写真を眺めても、実感も沸かない。


リアリティ無き人物。


トーイにとっての、父親像。


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