監察天使☆ネノ
婚約の日は意外と早く来るもので。

俺は王座に腰をかけ、眉間にシワを寄せる。


──…なんでもいい。

もはや、自暴自棄になっていた。


俺の隣に親父が立って、相手の到着を待つ。


「サンデリーナ伯爵、及び御息女のおな〜り〜。」


ラッパの音とともに、白髪の伯爵と、ヒラヒラドレスに身を包みベールを被った女が入って来る。


…はいはい、いちいち長々と文章を読むんだろ…。


と、心の中で悪態をついていた俺だったが、親父たちの反応に、ビックリした。

女が跪くと、親父と伯爵は『後は若い2人に任せよう』と、従者をも連れて大広間から出ていった。


…ぁぁぁぁ…。

余計なことしやがって。

この女がどんなに美人だろうと、可愛かろうと、どうでもいい。





そう、どうでもいい。






サンデリーナ家は、王家と並ぶ名家だ。

だから、この婚談も分かる。


「で?名前は、何なんて??」


ぶっきらぼうに言う俺に、クスリと笑う女。

…今、バカにされた??
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