監察天使☆ネノ
「わたくしの名を御隠居様からお聞きにならなかったのでございますか??」

「…先に言っておくが…俺は、お前がどんな女でも愛す気はない。

したがって、名や顔など…知らなくとも良かった。
…だから、聞かなかった。」


不機嫌に答えると、少しショックを受けた女はプイとベールで覆った顔を反らした。


「…で、だから、名前は??」


イライラしてきた俺は、頬杖をして聞く。

すると、俺の許しも得ずに階段を上り、王座に女は近づいてきた。


「わたくしは…ルイ・ガーネット・ド・ラ・サンデリーナの孫の…」


そう言ってベールに手をかける。


「ネノ・ティアラ・サンデリーナでございます。」















──…ネノ??







そこに居たのは確かに、愛しい君。















「ネノ…!!」


俺はネノを抱きしめた。


「陛下〜??
わたくしが誰であろうと、愛さないと仰ったのは陛下でございますわよねぇ〜?」


俺に腕を回し、意地悪そうに言うネノ。


「ネノは例外だ。」

「レーチ…。」


久々に呼ばれる名前。

俺は嬉しくて、ネノを抱きしめたまま静止する。


「レーチ…愛してる。」


そう言って俺の頬にキスをするネノは、少し頬を染めて笑う。


「可愛すぎなんだよ…っ!!」


俺はネノの唇に自分の唇を重ねた。

次第に深くなっていくキスの音が大広間に響く。


「ふ、ぁ…レ…ぃ…チ……、見てる……見…てるっ…てばぁ…」


キスの合間に苦しそうに言うネノの言う通り、大広間のドアの向こうから親父達が除いていた。


「…ん、じゃあ、俺の部屋に行こうかっ??」


微妙にこの後の事に予測がついたのか、ネノは真っ赤になった。

そんなネノの腰に手を回し、王座の後ろのドアを開けた。
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