監察天使☆ネノ
「つまり、ネノは早く帰りたいんだな??」


こくこくっ。

激しく頷く私。


ニコっと笑う、レーチ。


「無理。」

「はぁぁぁ!?」




ひととおり、こちらでの生活を説明され、

そして…今に至る。




レーチの部屋のベッドの上に正座の私。

椅子にすわるレーチ。


「ネノはね、早く帰って、勉強して早く立派な天使になりたいんだもん!!」

「…んな必要ないし。
ネノが帰るのは天界じゃなくて魔界。
なるのは立派な天使じゃなくて、魔界の王妃。」

「天使を、おちょくるのも大概にしなさぁい!!」


さっきからこの調子。

レーチは、ちょこっと溜め息。


「本気で言ってんのに…。」


呟くとプイと顔を背けた。

「もぅ遅いから寝るねぇ。
おやすみぃ。」


私がベッドから立ち上がり、ドアへ向かおうとした。


「ネノ。」


呼ばれて振り向くと、レーチは手をドアについて、私を囲うよいな形になった。
ちょ…近いんですけど…。

身長が私と30cmほど違うレーチは腰を屈めて私の高さに合わせた。


「絶対、お前の心を手に入れてやる。
それまでは帰る予定はない。」


真剣な眼差しで私を見つめる。

カッコイイなぁ…とは思いつつも、口は勝手に動く。


「外に出たら、その考えも変わるわ。
早く“お嫁さん”見つけて帰りましょう。」


ニヤっと意地悪な微笑みを見せてやる。

すると、レーチは目を丸くして顔を赤くする。


「やべっ…可愛い…。」

「帰れ、変態がっ。」


私はレーチから解放されるとドアを開けて、隣の自分の部屋へ向かった。
< 11 / 111 >

この作品をシェア

pagetop