監察天使☆ネノ
レーチは指で私の涙をすくって頬の切り傷を撫でた。


「…どうしたの?コレ。」


私はフルフルと頭を振る。


「…ちょっと来て。」


レーチは私を持ち上げた。


「キャッ…。」


いわゆる“お姫様抱っこ”をされた私は視界が高くなり怖くなってレーチの肩に手をまわす。


「なっ、レーチぃ…!!
おろしてぇぇぇ!!」


レーチの部屋に入り、レーチは私をベッドに座らせた。

自分は目の前の椅子に座って…。


「ネノ…、」

「レーチも…ミーラちゃんを好きになっちゃった??」

不安だった事が口からこぼれる。


「?」

「レーチも、ネノから離れてく……??」


涙がポロポロ流れて止まらないよぉ…。

潤む視界でレーチは苦笑いして私の隣に腰かける。


「俺の“ネノが好き”って気持ち…信じてよ。」


フワッとレーチの香りに包まれる。

それがやけに安心できる。


「星影の事だろ??
大丈夫…俺、あぁゆう奴、苦手だから…。」

「ああゆう…奴??」

「…なんつーか、フェロモン垂れ流しで近づく奴?」


…。なんじゃそりゃ。

目が点になっている私を見たレーチは『ネノは深く考えなくていーのッ』って言って頭を撫でる。


腕の中から私を解放すると、頬の傷口に手を当てる。

「触ってみて♪」


レーチに言われて頬を触る。


「えー!?
レーチ、スゴいー!!」

「へへっ。
こんくらい朝飯前だから!」


傷口のあったはずの場所は元通りになっていた。


「…レーチ、ありがとねぇ…。」


私はレーチに抱きついた。
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