監察天使☆ネノ
「れ…レーチ…苦し…いぃ…。」

「…!…ごめッ!!」


パッと腕を緩めてくれた。


「俺…本当に期待するよ?」


私は頷く。

お互い黙りあっちゃって…でも、それは心地よい沈黙で。

だから私は心の中で言えない想いをつぶやく。

──…レーチ、大好き…──


レーチを見ると目が合った。


「…??」


レーチの顔が近づいてきて反射的に私は目を閉じた。

唇に柔らかい感触。

離れてから、目を開いてレーチを見る。

それから、キスしたんだって実感しちゃって顔が熱くなる。


「ぷ…!」

「な、な、な!?」


レーチは笑いながら『可愛い』て言って私を抱きしめる。


歩き出すと私達は手を繋いで家に向かう。










きっと、今のでレーチに私の気持ちは伝わったよね。

口に出来ないのは、私が天使でレーチが魔界の王子だから。



いつか、伝えるから。

天使をやめて、伝えるから。


──…だから、それまで待っててね??
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