監察天使☆ネノ
部屋を開けると、ベッドで眠っているレーチを見つけた。


「レーチ…??」


髪を撫でると、レーチが目覚める。


「…?……未来?」


…ズキッ…。

痛む胸を抑えて、私は首を振る。


「私は…ネノ。」

「…ネノ??」


寝ぼけてるのか、レーチはゆっくり話す。


「そう。
レーチの…監察天使。」

「俺の…監察、天使は…」


『未来…』って言おうとする唇を塞ぐ。

離れると同時に、私は涙が溢れてきた。


「バカレーチ…。
心配しないで言ったのに…嘘つき…っ…。」


バカ…バカ、バカ!!

何度もレーチを叩く。


「痛っ…やめろよ。」


私を抱き寄せる。


「…!!」

「お前なんか…知らない。

けど、…俺、どうしたんだよ…。」


レーチの心臓の鼓動が聞こえる。

前は心地よかった腕の中も、今は、不安でいっぱい。


「思い出せないなら、抱かないでよ、バカバカレーチのバカー!

ネノは、そんなに安くないー!!」


離れようとしても、離れられない。

きつく回された腕は、ほどけない。


「行くなよ…。
よく分からないけど、離れたくない…。」


切ない声にドキッとする。

「どっちなの…!?
…レーチは…ネノを…思い出したの?違うの??」


レーチは仰向けの状態から寝返りを打つ。

それにつられて、私の体もベッドに倒れ込む。
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