キャンディ

「‥俺帰るわ」
それだけを残して、彼は明芽達から離れていった。

マーチのアホ。
置いて帰んなよ‥
今、稚代と二人きりにするとか‥ありえへんし。
「で‥何でアンタは帰らんの?」
細い目で尋ねる彼女の低い声。
今の明芽には、稚代子が睨み付けているようにしか見えなかった。
「え、待って!稚代‥」
「早くどっか行って!もう帰ってや」
勢いよく怒鳴ったかと思うと、明芽の背中を力強く押し、家から追い出した。
「ちょ‥稚代!」
もう‥なんなん、稚代のアホ。
ああぁぁぁ!
アホアホアホ!
意味わからんわ‥

「でも、何で‥」
何で颯ちゃん‥稚代に先連絡したんやろう。
マーチならまだしも‥
明芽は、誰よりも一番に彼女に連絡した颯太が、気になって仕方なかった。
昔は自分の方が仲良かったはずやのに‥
なんで?


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