キャンディ

一人でトボトボと歩く、稚代子の家からの帰り道。
そこまで田舎ではないが‥この近くでは、ビックリするくらいの畑の量。
街灯も少ないし、何だか薄気味悪い。
未だに慣れないこの暗さに、明芽は鳥肌が立つ。
そんな時、自分を呼ぶ声が聞こえた。
「置いてってゴメンな」
街灯の下で待ちわびていたのか‥腰を下ろし、少し眠そうだ。
「‥アイス奢ってくれたら、許したってもいいで」
口を尖らせ呟くと、ヘイヘイ!と、彼は立ち上り腰をはたいた。
「でも当たりでたら俺のやで?」
そう言って、何事もなかったかのように無邪気に笑う将史。
そんな彼を見て、明芽は安心仕切っていたのだ。
“まさかアンタ‥キャンディの事好きとか言わんやんな?”
稚代子が吐いた、あの言葉。
もう明芽の頭の中には、これっぽっちもなかった。


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