キャンディ
「きゃー!颯ちゃん」
「颯太!元気やったか?」
久しぶりに会った彼は、明芽の想像を遥かに超えていた。
あの頃より大人びている顔つき。
広がってしまった身長差や、しっかりとついた筋肉。
どれもこれも‥颯太が男だと意識させるものばかりで、明芽の心臓の高鳴りは止まらない。
「お前ら、相変わらずやな」
クククッと、懐かしい彼独自の笑い声が聞こえ、変わっていないとこもあるのだと、明芽は安心した。
ホンマに‥颯ちゃんが帰って来たんや。
将史と颯太は感激のあまりか、抱き合いながらケラケラと笑っている。
それを眺めていると、まるで昔に戻ったようだった。
「明芽、お前‥」
久しぶりに呼ばれた“明芽”という名前。
そのせいなのか、突然呼ばれたせいなのか、胸がきゅんと鳴いた。