キャンディ
友達は皆、キャンディと呼ぶものだから、なんだか新鮮な気分。
しかし‥何故彼だけは、昔からキャンディとは呼ばなかったのだろうか。
「な、なんなんよぉ?」
「いや‥見やんうちに、ちっちゃなったなぁーって‥」
「颯ちゃんが伸びすぎたんやろ!」
そうかもな!と、またクククッと、笑った。
変わってない‥なんにも変わってない!
颯太や、あの颯ちゃんや!
「颯ちゃ‥」
おかえり、とびっきりの笑顔で、そう言おうとした瞬間‥
「チョコ?お前どないしたん?」
彼は、明芽ではなく‥さっきから黙っていた稚代子に顔を向けた。
チョコ‥か。
いつぶりやろう‥そう呼ばれてるとこ聞いたん。
「ううん、なんもないよ」
そぉか?と、大丈夫か?と、何度も彼女を心配する颯太。
なんなん‥稚代ばっかり。
私にも、もっと話かけてや、颯ちゃんの顔みせてや‥
背中なんか、見たないねん。