キャンディ
ガヤガヤとウルサい教室のど真ん中。
「稚代さ、最近おかしくないか?」
その日の休憩時間に、突然将史がこんなことを言い出した。
「そう?どういう風に?」
私が聞き返すと、んー‥と首を傾げる。
「特に根拠はないんやけど‥まぁちょっと見ててみ」
そう言うと、イスから立上がり右手を上げ、大声を出した。
「おい、稚代!こっち来いや」
いつもなら、面倒くさそうにこちらに歩み寄って来るはずの彼女、なのに‥
プイッと私達に背を向けて、どこかへ行ってしまった。
うん、何かおかしい。
「なにあれ、どうしたん?」
「なんかな‥俺避けられてるみたい」
結構真剣な表情を見せる彼に、少し驚いた明芽。
マーチにはアホ面がピッタリやのに‥
「そのうち直るって!気にしなや」
なるべく笑顔で、そう言った。
すると彼も、そうやんな!と、くしゃっと笑った。
この顔が私は一番好きや。