キャンディ
「なぁキャンディ!今日も夜稚代ん家行こや」
「うん、行こ行こ!」
もちろん稚代には内緒で。
だけど突然押しかけたからといって、彼女は全く嫌がらない。
むしろ少し嬉しそうに見えるのは、明芽の気のせいなのだろうか。
家に帰ると、速攻ソファーに寝転んで。
雑誌読んで、お菓子食べて‥
たまにテレビを見て笑う。
これでも一応女子高生なんです。
「あぁ、もう暇やー」
大声で叫んだって、誰も相手にしてくやしない。
お母さんも、お父さんも仕事で、弟は部活。
私もバイトでもしよっかな‥
やけど稚代らと遊ぶ時間減るしなぁ‥
寝転んでいるせいなのか、突然彼女を睡魔が襲う。
気付いたら、もうすでに大きな欠伸が出ていた。
マーチが迎えに来るまで‥ちょっとだけ寝てよかな。
そう思った瞬間。
プルルルル、と電話の音が聞こえた。