キャンディ
もう、誰やねん。
こんな時間に‥
チラリと時計を見てみると、まだ7時前。
‥いいや、無視無視。
何度か鳴っていた呼び音も、最後はプルッ‥と、音を鳴らして切れた。
相手もとうとう諦めたのか。
そう思い眠りにつこうとした。
だが、また数十秒後に電話の音。
今度はなかなか諦めてくれない様子。
誰やねん、ホンマ。
あぁ、もう!
「はい、もしもし!」
『あ、もしもし‥明芽?』
そうやけど‥誰やねんな。
「そっちが先に名前言ってくれませんか!」
『わからへん?俺。ソウタやけど』
覚えてる?と、遠慮がちに尋ねた。
そ、そ‥うた?
ソウタって、あの‥颯太?
『もしもーし?』
「あ、はい!覚えちょります」
『何噛んでんねん』
電話の向こうからクククッと、颯太の笑い声。
「ど、どうしたん?急に電話とか」
久しぶりに聞いたな‥
前よりも、ずっとずっと低くなっている彼の声に、明芽はドキドキを隠せなかった。
『おぉ、それがさぁ‥‥』