キャンディ

「は?ホンマか?」
ビックリしているような、少し疑っているような‥そんな目。
「嘘ちゃうって!今!今な、電話あってん」
マーチが迎えに来ると、彼に抱き付きさっきの事を話した。
始めは信じてもらえなかったが、何度も言う事で、彼もやっと納得した様子。
「颯太、帰ってくるんや」
マーチの顔も、見る見る内に変わっていく。
二人で顔を見合わせて、何度も何度もハイタッチをした。

「なぁ!早く稚代にも知らせに行こう」
「うん、絶対喜ぶで!稚代」

走る事が苦手な明芽も、この時はそんな事忘れてた。
一秒でも早く、少しでも早く‥彼女に報告してあげたい。

一緒に喜んで、みんなで笑い合おう。
「稚代!ビックニュース」
「ん?どうしたん?」

マーチと顔を見合わせて、せーの!で同時に言った。
「颯太が帰ってくる!」

稚代子は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに私から顔を背けた。
「あぁ‥その事か」
彼女はまるで、何もかも知っていたというような‥そんな言いぶり。


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