君はヴァンパイア
1章 ヴァンパイア
入学式
「いってきまーす♪」
新品の制服を着た私はいつもの倍くらいの声でそう言った。
今日は入学式。
坂本美雨、高校生になります!!
「…いってくる。」
すぐ後ろからは、聞き慣れたダルそうな声。
しかも今日はまた、一段と小さな声。
工藤マオ。
私の家に住む同い年。
…ちなみに、何事にも超クール。
「もうちょっと元気に挨拶しなよー、マオ?」
「…」
オイッ!!
シカトするなー!!
心の中でツッコミを入れる。
だけど…
私の心のツッコミもむなしく、スタスタ歩いて行くマオ。
「ま、待ってよマオッ!!」
「…遅れっから急げ。」
「まだ1時間以上あるんだから大丈夫だよ!!」
だからゆっくり歩いてよっ!!
マオって歩幅大きいから速いんだよね。
ホント、私は女の子なんだか…
「ねぇ、マオ?」
ふと、マオの顔を覗き込んだとき。
一瞬、マオが悲しい顔をしたように見えた。
「なに?」
いつからだったかな?
マオがあまり笑顔を見せなくなったのって。
いつからだったかな?
マオと距離を感じるようになったのって。
「…ううん、何でもないよ。さっ!!学校いくよー」
「…変なヤツ。まぁ知ってっけどさ。」
私とマオは新しい通学路に新鮮さを感じながら歩いた。