君はヴァンパイア
近づく心
「…」
「つっ立ってないで座れば?」
マオは私を見ずに言った。
「…うん。」
マオのすぐ隣に腰を下ろした。
マオから、近いって小さく聞こえたけど離れなかった。
「…なんなんだよ、お前は。」
はぁ…って盛大なため息。
「あんま寄んなって、また襲っちまったらどーすんだよ?」
マオの微笑。
私は涙が零れた。
…やめて、
やめてやめて。
そんな悲しく笑わないで。
1人でどっか行っちゃいそうな顔しないで…
「ひっく…マ、マオ…」
「お、おい!?美雨!?」
私が急に泣きだすもんだから、驚いてるマオ。
謝りたいのに…
伝えなきゃいけないこといっぱいあるのに…
言葉がでないよ、
涙しか出てこないよ…
「っく…マオ、あの…ね?私…ふえっ…」
「あーもー」
ギュッ…
「んな泣くなって、怒ってねぇから。」
マオの匂い。
マオの体温。
マオ全部にすっぽり包まれる…
それだけでぐちゃぐちゃだった頭の中も、少しずつキレイになっていくような気がした。
「ゴメンね…」
やっと出てきたこの言葉は、小さな小さな声だった。