君はヴァンパイア

「ふう、大丈夫。まだ生きてるよ。」

お父さんがお風呂場から男の子を連れて出てきた。

「よかった。」

私はその場にへたり込んでしまった。
助かったんだ…
本当によかった…

「…首、ケガしてたの?」

私は男の子の首に包帯が巻いてあるのが気がかりだった。
どうしたんだろう…?

「ん?これかい?」

お父さんは男の子をソファーに寝かせながら言った。

「ちょっとケガしてたみたいでね。でもこの子の首まわりの血以外は違う人の血だよ。」

あんなにたくさんの血。
男の子じゃないの?だったら…

「…違う人って?」

「多分…この子の両親だね。血の匂いがすごく似ていたからね。」

お父さんの鼻はすごい。
だから間違いなんてない。
だったらこの男の子にはもう…

「お父さんとお母さん、死んじゃったの?」

「そう…なるね。」

私は物凄い衝撃をうけた。
この男の子は、どうやってこの現実を受け入れるんだろう?
そのことばかりが頭の中をぐるぐる回っていた。
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