君はヴァンパイア

お父さんは晩ご飯の準備をしにキッチンにいる。
トントン聞こえてくる包丁の音を聞きながら、私は男の子が寝ているソファーにもたれて座っていた。
早く…起きないかな?
でも、起きちゃったら、お父さんとお母さんが死んじゃったってことを知らなきゃいけないんだよね?
この男の子は悲しむことになるんだね…
すごく…可哀想。

「…私が傍にいてあげるからね。」

そう言って私は男の子のサラサラした髪を撫でた。

「ん…」

男の子がピクリと動いた。

「あっ!!起きた!!」

私は嬉しくなって、男の子を覗き込んだ。
まだ寝起きな感じで、ボーっとしている。
綺麗な顔立ちに少しドキドキしながら男の子に話しかけた。

「ねぇ?名前は?」

「…マオ。工藤マオ。」

「マオ君って言うんだ。私は坂本美雨って言うんだよ。」

ニコッと笑ってみた。
するとマオ君は急に血相を変えてソファーから飛び降りた。

「ど、どうしたの!?」

「やっぱり…夢じゃなかったのか?」

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