君はヴァンパイア
「そう…現実なんだよ。」
お父さんが手を拭きながらキッチンから出てきた。
「お父さん…」
どうして今いっちゃうの?
いつになく真剣なお父さんの表情に、その言葉は胸にしまった。
「君の両親は死んでしまったみたいだ。君がどうしてこんな淋しい場所に建つ一軒家の前に倒れていたかは分からないけど…話してくれるかい?」
「…」
マオ君は黙ってしまった。
「嫌なら無理強いはしないよ?ただ、君の話を聞けば少しでも手がかりが掴めるかもしれないって思っただけなんだ。」
お父さんは、マオ君をソファーに座らせ、机にはラズベリーティーを3つ置いた。
「…俺は、誰かに呼ばれた気がしたんだ。」
マオ君は話しだした。
きっと辛いんだろうな…
そう思いながら耳を傾けた。
「外に出たんだ。そしたら、いきなり目の前に…信じれないかもしれないけど、現われたんだ…ヴァンパイアが…」
「ヴァン…パイア?」
私は驚いて聞き返してしまった。
ヴァンパイアって…お化けじゃないの…?
実在しないんじゃないの…?
「信じるよ。さぁ、話してごらん?」
お父さんはマオ君の肩を抱き、背中をさすった。
少しマオ君の顔が安心したように見えた。
「…ヴァンパイアが俺に襲いかかってきて、それで大声で親を呼んだら…俺の目の前で殺されたんだ。それで俺はヴァンパイアに首を噛ま「美雨!!」」
お父さんが突然大声を出すものだから、私は驚いた。
「ど、どうしたの?お父さん?急に大きな声だして…?」
私はそう尋ねた。
急だもん、ビックリするよ。
「美雨はもう寝ようね。おやすみ。」
お父さんは私をお姫様抱っこして寝室に連れて言った。
「え?えっ?」
「おやすみ。は?」
ニッコリ笑ったお父さん。
あ、あれ?
何だか…
「お…やす…み」
私はそのまま眠りについた。