夏恋〜大好きな君へ〜


「夏江姉も爽兄とおんなじ顔してた。
どこか寂しそうなの」



春香ちゃんは僕の方に近づいてきて手を握ってきた。


「行ってあげて
夏江姉きっと待ってる。
爽兄も待ってたでしょう?」



―そうだ。


待ってたんだ…。
あの日、夏祭りの日に僕は約束をした。



―「待ってるから」

―「僕の為に生きて帰ってきて」



何年も待ち続けて

やっと会える日が

やってきた。



僕は春香ちゃんの頭のとこに手をぽんぽんとのせた。

「ありがとう。行ってくるよ」


そう言った僕に向けられた春香ちゃんの顔は笑顔だった。





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