夏恋〜大好きな君へ〜
「…返し忘れてた…」
僕はそのハンカチを握り閉めたまま、その場にねっころがった。
「……………」
いろんなところを探し回ったのにいないじゃないか…。
河原に向かったと思って来てみたものの、誰ひとりいない。
ただ聞こえるのは
川の流れる音と木々のざわめきだった。
「…もう…いないのか…」
帰っちゃったよな。
だってツインズが見掛けて何時間もかかってるし、春香ちゃんが夏江ちゃんと話したって行っても1時間くらい前の話し。
いなくてもおかしくない。
「…夏江……」
ぽつりと僕は呟いた。
「――――…そうし?」
.