夏恋〜大好きな君へ〜


「…でな、先生は一目惚れしたんだよ。そりゃ、綺麗で別嬪さんでよ〜」


先生の青春真っ只中の話が教室に響いていた。


ごく数人、苦笑い。

その中に僕も含まれるだろう。


何とも言いようのない話を聞いていると後ろからちょんちょんと突かれた。


「なぁっ爽司(ソウシ)!」


「何だよ。
へらへらな顔しててキモいんだけど」


「んなっ!」


冗談で言ったのに、せっせと頬を手で直している僕の友人、基(モトキ)。


立派な顔立ちで明る過ぎない茶色の髪を不造作にセットしている彼はかなりのイケメン。


だと僕は思う。


女子からも評判がいいしね。


何たって彼はクラスのムードメイカーでもあるから。




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