待っていたの
「これをいただきます」

そして、うっすら笑う。


「それだけか…?」

目を細め、彩の表情を伺う。
高官達も、ヒソヒソと話し合う。


「はい」

「あとの物はどうする」

息をのむ、この選択でみんなが変わると感じた。

「こんなものいくらあっても、食べれませんから、お米など食べ物に変え、皆さんに渡すか、この間の橋をかける費用にするとか、医療普及の為の助成金にするなど様々な使い道はあります。陛下のお好きなように」

面を喰らった、普通の女は溜め込む。

溜め込むだけ溜め込む、そして自分の美の為に使う。

それが彩はなんと言った?民の為に使えばいいと…事もなげに言ったのである。

いくら月妃といえど、歴史にはこんな事を言い出す姫はいなかったはずだ。


「面白いね、でも医療普及なんてどうするの?口だけで言うなんて誰でもできるよ?」

栄達の意地の悪そうな声と共に、彩の前に現れる。


わかった事は、栄達も高い地位に若くしている事。



.
< 105 / 243 >

この作品をシェア

pagetop