待っていたの
「それは、わたくしはこの国の状況を見聞する身分はございません。何も自分で見聞きする事は許されておりません、ですから…陛下のお好きなようにと申し上げているのです」

「口先だけなんだ今度の月妃は…?」

グッと腹に力を入れる。
顔には出さない様にしてから。


「陛下のお許しが頂けましたら、首都ではないどこか他の州での実状を見聞したいと思いますが」

「せめて、ゼプスまでだ。他は護衛がいくらあっても足りん」

「つまり、その位荒れているということですね?今まで何をやっていたのか、逆に聞きたいですわね?」

栄達との舌戦の時には妙にイキイキとする彩に頭を抱えたくなる白夜。


二人ともどこか楽しそうに見える。


「彩には報告をあげさせる。気付いた事はなんでも言えと言ったのは俺だしな……」

「ありがとうございます陛下」

「陛下が優しくてよかったね、月妃さま?」

わざとらしい敬語混じりの言葉で…、彩を見下す。



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