待っていたの
「なんだ…彩が側に居ないと不安?」

性別不明な、笑顔で笑う黒麗。


「それはないですよ、側にいないと使えないだけですよ」

白夜に問うた答えは彩が答える。
その答えにまた愉快そうに笑う黒麗。


「そうだねぇ…」

「黒麗さまお飲みものをお持ちいたしますね」

グッと白夜の胸を押し、黒麗に微笑み下にくだる。


飲み物を持ち、階を上がると、女性の視線が厳しくなる。


それに嘆息して、私の花嫁行列に加わった人達は、さすがに華やかで目を奪われる。


前列…目立つところに居るからか。


「どうぞ」

「ありがとう、彩」

口を付けて、微笑む黒麗。

白夜の隣に立って無言だった栄達が彩に聞く。


「月妃は、どんな娘がいいの?」

多分私が黒麗さまと連れだって来ることを、予想してたように何も驚かなかった栄達が、厳しい目を向ける。


まるで…彩と白夜の夜の事情を知っているように。


「道具としてなら、使える聡明な方か…父親の権力が絶大な方を、夜のお相手なら、お気に召した娘を。私の変わりに、妃としての仕事を請け負うのなら、権力欲のないお方を…コレは家族ともですね」

外戚のイザコザは国を揺るがす。


事実、女で滅んだもしくは王位を追われる例は沢山あるのだ。


政略結婚ならもちろん使える娘がいいのは当たり前だ。


そんな事を表情ひとつ変えずに言う彩は…正妃として正しく映るのか。


その話しが聞こえる位置に居るものから歓声があがり、月妃としての彩に次々膝をおり挨拶をする。


実際のところ、任命権は彩…第一妃である月妃にあるのだから。


この対応は正しいと言えるだろう。


「うん、うちに来て月妃やってほしい位だよ…彩」

「その場合…毎日着せ替え人形なんですよね?」

「彩は美しいからね…楽しいんだよ。白雪の肌と黒髪が美しいからね」

黒麗さまの長い髪の毛の方が素晴らしいと思う。



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