待っていたの
「ありがとうございます」
(外に出なくなって、白くなっただけだけど)


「白雪の肌も吸い付くようにキメが細かいからね」

妖艶な笑みで、陛下を挑発する。


陛下の纏うオーラが、変わるのを背中で感じる。


「月妃は陛下を怒らせるのが…得意だよね」


「黒麗さま…お言葉が過ぎます、陛下で遊ぶのはお止め下さいませ」

「はぁーい、怒られちゃったよ」

扇を口に当て、艶やかに微笑む黒麗さまに、負けた…と彩はつい思ってしまう。


女として、男性である黒麗に負けた…とそのくらいの威力のある微笑みで。


(この世界の人は無駄に顔がいいから、ダメだよね。たまにキュンってなったり、ポーってなる)


それより、陛下と栄達の驚いた顔も見れた。


黒麗は多分人の注意を聞く人ではないからだろう。
そんな人が…一国の王が、注意を素直に聞いた。
その事実が何を示すのか


「今度は、朱雀王なんだ…母国を売るつもり?」

「どうしたら国を売れるの?私の国は異世界にある日本だけよ」

「お前の母国は龍国だ…当たり前だお前は俺の妻なんだから」

「…失礼いたしました」

母国と言うことすらできないのか。
では祖国と言おうか。


「彩…朱雀国に一度おいで、遊ぼう?」

「はい…ぜひ」

「着せ替えして…祭の季節だったら外に出よう?」

「お祭りですか?どんなものなんですか?いいなぁ…」

お祭り、龍国であっても行けないだろう、お祭り。


花火にタコ焼き、いかやき、トウモロコシ、かき氷、射的、籤引き、ヨーヨー、かたぬき、ヤキソバ、箸巻き、綿菓子、ジュース。


いいよね…おいしそう。


つぎつぎと浮かんでくる、B級グルメをどう再現するのか。
似た材料があれば可能かもしれない。

「朱祭って言うんだ、楽しいよ」

「龍国には青祭…!?」

「そうだね!朱祭は美しい火の祭りだからね?踊りなんかも最高峰だから、美しい美しい踊りを見れるよ」


「わあー…いいなぁ」



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