待っていたの
「一緒に食べるのが嫌なのか?」

「いいえ、毎日これを食べると太ります」

きっぱりと言うと、護衛が驚いた様に白夜も驚く。


「そうか…」

彩の場合、ブランチになる。


特に不便も感じていない上に、文句を言う立場ではない。


食事が終わり、準正装になった陛下の三歩後ろに下がり、歩いて朝議の場へ行く。


途中で栄達と合流する、栄達は側近なのだろう。


「君のわがまま商品は、執務室に揃えておいたよ」

彩の首の白夜の所有印を目ざとく確認しながら報告した、もちろん扉破壊の情報は上がっているだろう。


「感謝します」

そう答えた彩は、第一妃を仕事にしようと覚悟を決めたのか。
その言葉にあまりいい気分ではない栄達。

「生意気…だな、俺達の機嫌を損ねてやっていけると思うなよ?」

そう話す栄達には、明らかに悪意が込められている。


「クス…世界に繁栄をもたらすのが我が役目、若輩と言えど…どちらの機嫌を損ねてやっていけるのか聞きたいものです」

後ろから声がかかる、曹宰相だ。


「おやおや、困りましたな…今度の月妃は、その様な事は栄達の言の方を取りますよ。あまり…出過ぎた真似をしませんよう月妃さまには、お願い申しあげます」

そうゆったりと話される。

彩はやはりそうかと思う、本当に自分の方が偉いと思った訳ではない。
出方を伺い、自分の地位を確認したのだ。

この朝議が終わると、戴冠式だ。


冠をその頭に戴いても、栄達より信用されないのか。

「肝に命じます、曹宰相」

もっともらしく答える、そして曹も見つけた彩の首に無数の所有印を。


左の薬指の、所有の証を。

「月妃…お前は俺の側にいればいい」

その白夜の言葉も、白夜の意図するようには、彩に伝わらない。


「畏まりました」

目をふせまた、無感情の人形に戻ったようだった。


―もっと力を持たなければ、潰される。


朝議場の前に、疾がいるのを見たが…彩も疾も何の言葉も交わさず、視線すらあわせなかった。



.
< 129 / 243 >

この作品をシェア

pagetop