待っていたの
白夜も栄達も注意深く、見ていたが、変化は感じとれなかった。


いつものように、朝議を行う、彩に意見を求める事もなかった。


退席をし、今度は正装に着替え、戴冠式をするがこれは形だけのものだ。


小1時ほどで、サクサクと終わる。


彩の頭の中のイメージは、ナポレオンの戴冠式のイメージしかなかったので、拍子抜けする。


黒麗はこれに参加するための来国だったのかと、納得する。


彩と陛下より確実に目立った衣装の黒麗を思い出す。


青の中の赤は確実に目立っ上にあの黒麗だ。


目の前に黒麗が、形式的な挨拶のため待っている。


「この度は、彩の第一妃としての戴冠まことにめでたい。我が国としても月妃誕生は喜ばしい」

「このように月妃はまだ幼い、ですが世界の月妃です。我が龍国で守っていきますのでご心配なく」

すると白夜の返答も気にせず、彩の方に向かう。


「彩…今日も美しい」

「私など…黒麗さまには、足元にも及びません。服飾も私に叩きこんでくださいませ」

「彩はいい子だ、こんな武人の国よりも、芸術の我が国の方が似合う」

「嬉しいです、ぜひ雀国にも行ってみたいです、勉強にも見聞を広げる為にもなりますのに」

少し残念そうな顔で黒麗に話す。


「また後で、黒麗さま」

歩きだした陛下を追って、彩の足も動く。


「嫉妬ばればれなのに、鈍感だよねきみの奥さん」

からかう口調で、白夜にコソコソと話す栄達。


「うるさい、馬鹿栄達。お前はイジメすぎだ」

「白夜は夜ずいぶんイジメたみたいじゃん―?」

ばれていたのかと、片眉を寄せる。

「俺のモノだ、どうしようと勝手だからな」

「そうだねぇ、じゃあもっと嬉しそうにしたら?」

「原因知ってる奴が何を言うんだ!」

肩を小突く。
そんな二人のやり取りをうらやましげに見つめる彩に気づかない。


(羨ましい…、二人は認めあっているから)



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