待っていたの
③
帰り道で、逆光で顔は見えないが…武官に会う。
ただ彩はそれが誰かはわかっていた。
「疾…………」
前から歩いて来る人物に、彩は気づく。
涙が零れそうになるのを必死に我慢する。
そして、疾が騎士の礼をして道を譲る。
「姫さん、気にすんな…淑鵬は雀国に留学した、必ず帰って姫さんの力になる。俺も出世して、姫さんを守る。どれだけ時がかかろうと…約束する」
二人が行き違う寸前に、放たれた言葉。
わざわざ疾は彩を追って来た。
その言葉を言う為に
「うん、私もふたりに恥じない自分でいたい……」
言葉は少なかれど、確実に心は繋がった。
彩は零れる涙を、拭いもせず、光が射す場所へ毅然と頭を上げて歩みだす。
何度も悩むだろう、だが今日のこの日の事は忘れない。
彩の強さになる。
執務室へ帰って来る。
心配そうな翠翠が見ていたが、微笑み大丈夫だと示した。
「やっぱり、朱雀王をタラシ込んだの?」
栄達のニヤニヤと意地の悪い笑みと、陛下の不機嫌なオーラに出迎えられる。
「…いいえ。必要ありませんそのような事」
「必要ない…?なぜ、昔から男をタラシ込む女はみんな褥と色気でタラシ込むんだよ?」
知らないの?と言いたそうな栄達。
「私ごときでどうにもなりませんし、タラシ込む理由がありません」
「理由があったら、タラシ込むのか」
白夜の低い声が聞こえる。
「天秤にかけて、私の体より大事なものがあれば」
その言葉に、反応する。
「ふっ…お前の躯は、具合が良いからな。簡単にタラシ込めるかもな」
それは彩をおとしめる言葉で、彩は泣くかと思ったが毅然と頭を上げ、真っ直ぐに白夜を見つめ、フッと視線を外し自分の机に座り、型をとったり、ああでもないこうでもないと試行錯誤し始める。
「……姫?」
何も反応しなかった彩を気にする栄達が、声を掛けるが完全に無視する。
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ただ彩はそれが誰かはわかっていた。
「疾…………」
前から歩いて来る人物に、彩は気づく。
涙が零れそうになるのを必死に我慢する。
そして、疾が騎士の礼をして道を譲る。
「姫さん、気にすんな…淑鵬は雀国に留学した、必ず帰って姫さんの力になる。俺も出世して、姫さんを守る。どれだけ時がかかろうと…約束する」
二人が行き違う寸前に、放たれた言葉。
わざわざ疾は彩を追って来た。
その言葉を言う為に
「うん、私もふたりに恥じない自分でいたい……」
言葉は少なかれど、確実に心は繋がった。
彩は零れる涙を、拭いもせず、光が射す場所へ毅然と頭を上げて歩みだす。
何度も悩むだろう、だが今日のこの日の事は忘れない。
彩の強さになる。
執務室へ帰って来る。
心配そうな翠翠が見ていたが、微笑み大丈夫だと示した。
「やっぱり、朱雀王をタラシ込んだの?」
栄達のニヤニヤと意地の悪い笑みと、陛下の不機嫌なオーラに出迎えられる。
「…いいえ。必要ありませんそのような事」
「必要ない…?なぜ、昔から男をタラシ込む女はみんな褥と色気でタラシ込むんだよ?」
知らないの?と言いたそうな栄達。
「私ごときでどうにもなりませんし、タラシ込む理由がありません」
「理由があったら、タラシ込むのか」
白夜の低い声が聞こえる。
「天秤にかけて、私の体より大事なものがあれば」
その言葉に、反応する。
「ふっ…お前の躯は、具合が良いからな。簡単にタラシ込めるかもな」
それは彩をおとしめる言葉で、彩は泣くかと思ったが毅然と頭を上げ、真っ直ぐに白夜を見つめ、フッと視線を外し自分の机に座り、型をとったり、ああでもないこうでもないと試行錯誤し始める。
「……姫?」
何も反応しなかった彩を気にする栄達が、声を掛けるが完全に無視する。
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