待っていたの
「カラオケは、楽団の生演奏付きで歌の練習が、誰でもできるんです」

(ちょっと、違うかな?)

「それは、庶民もか?」

「はい、ある程度お金はかかりますが、高くはありません」

「うちでも可能か?」

一気に王の顔になる白夜。

「現段階では、不可能です」

(台車すらないんだよ?機械は苦手で解らないし。第一録音が出来ない)

「そうか……服の件は月妃に一任する、工部と話し合って決めろ」

「はい!ありがとうございます」

キラキラと瞳を輝かせ、頭を下げた彩を、驚きの表情で見つめる。


そして彩は、全速力で走りさる。


「……あいつの希望を叶えてやれば、彩は笑うのか?俺を認めるのか?」


その呟きは、護衛が聞いていただけだった。


まだ気づかない。


その考えが、いかに危険かを――。



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