待っていたの
その乗せられた、手に緊張する。


初めて男の人だと意識した。
髪の毛に神経はないけれど、なぜか神経が存在しているようで……恥ずかしかった。


「あの……、白夜……その、恥ずかしいです」

ポソリとこぼした声に、白夜が驚いた顔をして、彩の頭から退けた自分の手を見つめる。


(どうしたの……?)


「わ、るい…」

そう言って歩きだした白夜の三歩後ろを歩く。


執務室からこちら側の陛下の部屋までメイドがいない、護衛の人達が少数居るばかりだ。




そのまま足を進める白夜に付いて行くと、急に白夜が立ち止まった。


扉を開けさせ、正面の奥にある、紗の掛かった玉座に上っていく。


彩はどうしていいのか分からず、黒壇の机に黒壇の椅子に青いコースターに水が置かれているのを見る。
薄い青色の絨毯に自分の足が縫い付けられたみたいな感覚を覚える。


ここに居る人の眼に恐怖心が浮かぶ彩、もともと大勢に注目されるのは慣れていない。


白夜が半分まで進んだ玉座への道を引き換えし、乱暴に彩の手首を掴み、引きずるように玉座へ登る。



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