待っていたの
すっと膝をつき、手を差し延べその服とは呼べない、シロモノを着ている女性を立たせる。


「お怪我は?」

彩より年上の30位の女性に、笑いかける。


「なにか御用事ありました?」

「彩……そのまま後宮へ来たの?」

「はい」

黒麗の問いに当たり前のように、返す彩に藍色の服が被される。


「え……?」

「着ていろ、バカ!!」

下を見る彩。

「あ……!」

見開かれた目に、朱に染まる頬。


「かわいいね、彩は」



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