待っていたの
音を立てずに彩の部屋へ入り込む。
夜ばいをかけにいってるみたいだ。


「彩……そのまま寝たのか」

まったくと含ませるが、表情がそれを裏切っている。

ふとんをかけてやって、顔にかかる髪の毛を払う。
机には沢山の書き付け、それを見てチクリと心が痛む。


もう、かえしてやれない罪悪感からだろうか。


「彩……」

名前を呼んで彩に口づけを落とす、その柔らかな感触に胸が締め付けられる。


「ハァ……」



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