待っていたの
「好きだ……そうやって言えばお前は、俺のモノになるのか?」

もう一度、額に口づけを落として部屋を出る。
執務室に歩いていき、腰をかけて仕事をする。
何かを取り払う為に。





「なに、今の」

ふとんをギュッと握って、身体の震えを止めるように、力が入る。

「なんて、言ったの?」

「聞き間違い、だよね」

唇に震える指を当てて、どうにか落ち着こうとする。

「好きって……」

「なにそ、れ」



.
< 220 / 243 >

この作品をシェア

pagetop