待っていたの
後宮の隅に作った畑、そこには水瓶も井戸もある。


誰も住むもののいない後宮は、閑散として人気がない。


「はぁー…も、なに?」

頭をバリバリと男らしく掻きむしり、体育座をしたかと思うと、そのまま膝におでこを押し付け、ちいさく纏まる。


「なんでぇ〜」

声が震える、その姿は普段栄達との言い争い、白夜に付き従う姿からは程遠い。

かなりのギャップに、表情を崩すことのない護衛たちは焦りはじめる。



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