待っていたの
「どうしよう、どうしよう」

ぶつぶつと話し、サササササと歩く彩。
結局自室へ戻り、ベッドへ大の字で倒れ込む。


「どうしよう、なんで?」

ハテナマークの大行進であろう彩は、足をパタパタさせ、ナイトドレスの裾がめくれるのも気にせずに、ゴロゴロと転がる。


「なんで、やめて……」

無感情で接してきた男から、つぶやかれた言葉は彩がパニックになるには十分の言葉だった。


「いまさら、なに?」

肩を摩りながら、白夜の香りのする上衣をどう扱っていいかわからず、とにかく畳みはじめた。



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