待っていたの
「どうしたんだ、一体……」

はあと深いため息をつき、特に心配した様子もなく、ただ内宮から出ることのないようにと影に命じた。


白夜の裾が翻り、政務をこなすべく歩き出す白夜に、変な空気を感じる栄達だが、なにも言わず彩の走り去った方向を見てため息をつき、反転し自身の王に従うように、着いていく。


そこには、もう――栄達の表情はなくなっていた。



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