待っていたの
―――
――


「はあ……、はっ」

膝に手を付きゼハゼハと息を整える、額から汗が流れる。


彩の息が整い、ふうと息を吐き目線を地面から上げると、視界に朱貴が見えたそれも距離にして、約1メートル。


「は、え……?ここ」


どこ?
その言葉までは、声にならない。


「どうしたのか、月妃」

その声にゆるゆると、顔を上げぼんやりと見上げる。


あ、話せるんだ。


そんな事を思った。
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