待っていたの
「急に泣いてしまってごめんなさい」

そう謝る。
この男の人は朱国の人、いくら国王が黒麗さまだからってこんな事してはいけなかったのかも。


「いや……こんなに話したのは、何十年ぶりだろう」


その声は独り言のようで。私に言った訳ではないようだった。


シンとした朱国の方に与えられた部屋はなぜか気まずい空気にはならない。


その事は、これからの事に大きな意味を持つ。


「しかも取引先の人なのに……」



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