待っていたの
「姫さんはマダ、だろ?」

男の勘ってやつだ。


「あんな身体なのに?」

淑鵬は不思議に思う、正直疾が居なかったら、襲っていたかもしれない。


柔らかい肌に、いい匂いのする髪の毛、豊かな胸、かわいい泣き顔。

母親みたいに叱るかと思えば、意外にも子供っぽい。

「だってあれは、男なら欲しいよ…」

彩を目で追って、笑う。


「は…、お前…?」

その熱っぽい視線の先には、彩の首筋の赤い跡。


「淑鵬…!!馬鹿!」

「別に彩を道具なんて言う奴らには、愛人が居たって何もないよ」

「淑鵬…、本気になるな、これは忠告だ、陛下は姫さんの事、道具とは思ってねーよ」

「なにそれ?彩は警戒心強いけど…女としての警戒心はゼロだから襲いやすいしね?」

なによりあんな女が側にいて、襲わない男いる訳がない。
『上げ膳据え膳』状態なのだ。

「自分が何、言ってるかわかってるのか?死ぬぞ?」

「大丈夫、彩を好きなら俺を殺せない、彩を道具として見ていても彩が庇ってくれる」

彩が悲しむから。


「姫さんに守ってもらう気か!?」



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