待っていたの
酒の匂いがする、彩達は酒盛りしているのだろう。

――スパン!

障子を開け、鋭い視線にぶつかる。


疾は酔い潰れていたが、彩を無意識に庇い、自分の身体の後ろに隠していた。


「陛下…なのか」

そう呟きまた眠りにつく。

「陛下、ご機嫌麗しゅう。お目にかかれて光栄でございます」

平伏する臥 淑鵬。
授業中、寝ていた人物とは同一人物とは思えないほどだ。

麗しい訳がない、白夜の機嫌は。

「彩…帰るぞ!」

座っている彩の手首を持ち強引に立ち上がらせる。


「今日は泊まると…」

「許可した覚えはない!」

「私が決めるの、貴方には聞いてません!」

「姫…?陛下の決定がすべてですよ」

栄達の言葉に、抵抗もできなくなる。
身をよじると服の中に入れた、ネックレスが出る。


それに視線を這わせる、白夜に彩の身体が跳ねる。


その視線が彩の左の首筋で止まる。
白夜の指が彩の首筋を這い、赤い鬱血の場所で止まり、引っ掻く。


「いたぁ!!」



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