待っていたの
淑鵬がニヤリと挑発的な笑みを白夜に見せる。


彩はとっさに右の首筋を押さえ淑鵬の後ろに隠れる。

「彩、大丈夫…?」

「臥 淑鵬、貴様が姫の御名を呼び捨てにすることは許されておらぬ。」

栄達が真面目な顔で言うと反論したのは彩。


「貴方に言われたくないわ!私が決める事よ!」

そう声を荒げる。


「先程も申しましたが姫、貴女は繁栄をもたらす姫であろうと、陛下の物。物が口答えするのは関心いたしませんがね?」

ゾクリと悪寒が走る。
後ろに自然に下がる足。


思考が纏まらない。


「その男のどこが友達だ?」

ゆったりと白夜が口を開く。


「え…?一緒にいると楽しいし、優しい」

そう彩が言い終わらぬうちに、笑う白夜。


「下心も分からんのか、お子様だな?」

「下心…?」

「その男は、不意打ちでキスマークを付けるような男だぞ!?」

「キス…マーク……?」

混乱する頭。



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