待っていたの
さっき引っかかれたのは…?
キスマークのせい?


そう油断した時、一瞬で周りが青くなり、淑鵬の家から王宮の自分の部屋に移動させられていた。


「なっ!淑鵬?!」

急いで扉に向かい、ノブを回すが、全く動かない。


―ガチャガチャ

耳につく音がするだけ。


「開けなさいよ!」

命令口調で、扉を壊そうかとまで考えた時、白夜が彩の真後ろに立った。


振り向く事を許されず、ノブに回された手を白夜の手が被い、ノブから手を離された。


「淑鵬はどうなりました?疾は…?」

自分の手にはこだわらず、ふたりの安否を心配する彩。


「フ…自分の心配したらどうだ?」

冷徹な瞳が見下ろす、その瞳に恐怖を覚える。


だが、表面に出してはいけない。


「ふたりはどうなるのですか?」

再度たずねる。
ここから出られない彩はこの人に聞くしかないのだ。

彩の首にかけられた、ペンダントに視線がいく。



.
< 56 / 243 >

この作品をシェア

pagetop